2012年7月12日木曜日

日米の違い

今では多くの5‐1の生徒がJCAB課程で頑張っています。
この課程のひとつのキモとなるのがFAAとJCAB、いわゆる日米の違いです。

まずは、フライト前の準備です。
FAAで教えられたのはRAW FATと言われるものです。
それぞれの単語の頭文字をうまく並べた語呂合わせです。

R: Runway length (滑走路の長さ)
A: ATC delay (管制の遅れ) ※
W: Weather (天気)
F: Fuel requirement (必要な燃料)
A: Alternate airport (代替飛行場) ※
T: Take-off & landing distance (離着陸距離)

この中でも全てが毎回必要というわけではなく、※印のあるものは主にIFR(計器飛行方式)に関することです。
そして最後の一文がアメリカらしく、‘familiar with all available sources’ つまり手に入れられる情報は全て知っておきましょうと。

一方でJCABはといいますと'Preflight Confirmation' 機長の出発前確認と言われるものをやります。
これは日本での座学中に覚える「整重ノ気燃積」というこれまた語呂合わせです。
航空機および装備品の整備状況・重心位置/重量分布/離陸重量/着陸重量・ノータム(航空情報)・気象情報・燃料および滑油の搭載料およびその品質・積載物の安全性です。
JCAB課程ではこれらの出発前確認をあらかじめしておき、教官と会い一つずつ説明していきます。

これ以外にも法律や距離の単位(ftとm)等大小いろいろとありますが、自分たちが飛んでいる空はアメリカの空なので実際のところは飛行機に乗り込んだらアメリカのルールで飛びます。

 JCAB課程に入ると、座学ではFAAとの法律の違いを重点的に学びますが、特にIR課程で大事な項目がひとつあります。
それは、”無線機が故障した場合の処置” です。


御存知の通り、パイロットは航空管制官と常時通信を行いながら飛行しますが、無線機が故障したり、電波障害が起こって管制官と交信できなくなった場合処置が法律で定められています。

飛行高度はどうするのか、飛行経路はどうするのか、着陸はいつ行うのか?
などが細かく定められています。

別々の手順・法律などを同時に学ぶのは厄介ですが、2つの法律や手順を同時に比較しながら訓練できるというのもまた一つの東海大の魅力とも感じます。

どちらかのやり方をいいと感じたり、良くないと思っていた手順も、実際に飛行してみるとなるほど理に叶っていたり、今までの航空業界はいろいろな国、人の試行錯誤で作り上げられてきたんだなとひしひしと感じます。

訓練をする中でたくさんの教官との縁も生まれ、UNDを離れてエアラインで働くかつての教官達とも今でもちょくちょく連絡を取り合ったりしていますが、いろいろな話を聞けます。

こうして振り返ると、免許以上にたくさんの物を得てきたんだなと思います。


  古井&福島