2012年2月1日水曜日

IFRのお話。

がもっとも厳しくなる2月になりましたが、グランドフォークスでは相変わらず降雪が少なく、気温も比較的高く過ごしやすいです。
といっても天気が悪い(雲の高さが低い)日が続いているため飛ぶことのできない日も多いです。

今日はそんな天気の中で飛行機がどうやって飛んでいるのかをご紹介します!
 これまでの記事でIFR=計器飛行という言葉が何度か登場していますが、では実際コックピットの中ではどんなことが起こっているのか?

計器飛行方式とは管制の指示に従って飛ぶ方式という説明が今までにも出ていますが、着陸を行うときにはパイロットは一つのチャートに従って飛ぶことになります。

 以下はその時に使うグランドフォークス空港のRunway35Lのチャートの一つです。
 それぞれおおまかに色分けして見ました。

→管制官とのコミュニケーションに使う周波数とNavigationに使う周波数

→もしも滑走路に近づいても滑走路が視認できず、もしくは何らかの理由で着陸ができなくなったときに従う動作


真ん中の図
→アプローチの過程を真上から見下ろした図

ピンク
→アプローチの過程を真横から見た図

→天候が悪い時に、どの程度の高さまで下がって良いのかが書かれている。飛行機のアプローチの速さによって必要条件が変わる。











パイロットはある点で管制官から、チャートに記されたようにアプローチするようにという指示を受け、その後は上記の図に従って飛びます。
耳にしたことがある方もいらっしゃると思いますが、このILSアプローチでは主に、高度のずれの基準となるグライドスロープと呼ばれるものと、左右のずれの基準となるローカライザーと呼ばれるものに従って飛びます。


青い四角で示した中のダイヤモンドとそのゲージがグライドスロープ。ど真ん中にあるので、これは正しいパスに乗っていることを指します。


赤い四角で示した中がローカライザと呼ばれるもので、上のダイヤモンドとゲージに加え、その下のメーターの緑の矢印がより視覚的にRunwayにまっすぐ向かっているかを表示しています。











聞く、見る限りには、なんだ指示通りに動かせばいいんだ~
というくらいにしか思えませんが、これが飛んでみると大変・・・・

上下左右の動きに加え、を考慮し、上のチャートと計器を交互に見つつ、高度を確認、滑走路を視認するために下がれる最低の高度と現在の高度をcall outして、いつスピードを下げるのか考え、flapやgearの操作、チェックリストの実行管制官とのやりとり・・・等々、本当に忙しくなります。

それだけでなく、アプローチに入る前には上記のチャートを端から端まで説明して、機長と副操縦士(この場合は生徒と教官)で意思疎通を図ります。

 技術や経験を身につけるまではこれがとても大変な苦労です。
(管制も難しく、形式的なものでない、普通の英会話に近い形になることが多いです)

一回のレッスンはこのようなアプローチを2回ほど行っただけで終了、時間は短いですが、倍の疲れを感じます。


この日は先輩のセミノールという飛行機のオブザーブをさせてもらいました。
上空の風が弱く安定していない限り、昇降率はずれやすく、高度のズレも相まって、速度も5kt程度は簡単に変わってしまいます。
しかし、上の画像の通り、このフライトではグライドスロープ、ローカライザ、スピード、昇降率、など完璧に安定していました。
・・・・お見事です!!!

少し長くなりましたが、以上のような動作を行うことによって、雲の中や視界が悪い状況でも着陸する直前まで計器だけを見て飛ぶことができ、安全に着陸が行えます。
(ちなみにこれが計器飛行、という名前の理由です)
もちろん、規定の高度までに滑走路が見えなければ着陸はできませんが、今の航空業界では、着陸直前に約60mの高さまで下がることができるので、大体の場合は着陸が可能です。

動画はyoutubeにあったものですが、自分もこれと似たようなアプローチをしたことがあります。
(さすがにこれは難しい例で、もう少し視界はありましたが)
外が見えない、という状況は決して心地よいものではありませんが、そんな中で安全に飛行機を飛ばすのがパイロットの大切な役目ですね・・・がんばります><!


次回はくぼしゅんに記事をお願いしましょう!!

ではでは

by福島